
【書評】 40代から始める副業のススメ|『稼ぎ口を二つにしなさい』が教える5つの選択
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こんにちは。記事をお読みいただきありがとうございます。
今回ご紹介する本は、坂下仁さんの 『40代からは「稼ぎ口」を二つにしなさい 〜年収アップと自由が手に入る働き方〜』(ダイヤモンド社、2022年)です。
著者の阪下仁さんは、大手銀行で約30年にわたり数千件の融資や個人の資産形成に携わってきた元銀行員。 50歳で独立し、現在は「お金のソムリエ協会」会長として活動されています。FPや宅建など十数の金融資格を持ち、累計18万部の著作があるお金の専門家です。
そんな現場感のある著者が、40代に向けて「これからは稼ぎ口を二つ持とう」と提案する一冊です。
本書では、40代で副業を始めるべき理由・選ぶべき副業・避けるべき副業・副業をライフワークにする方法まで、お金と働き方の地図がぎゅっと詰まっています。
本書を読んでみたい方や、副業を始めるか迷っている方に向けて、内容のエッセンスをかみ砕いてご紹介していきます。
40代から副業を始めるべき理由 ―「年金は安心の保険」ではない
著者がまず鳴らす警鐘は、年金制度の現実です。
公的年金の受給開始は原則65歳。ただし、繰下げ受給の上限は2022年に70歳から75歳に引き上げられています。著者は、70年代生まれは受給開始が70歳、80年代生まれは75歳前後まで実質的に支給開始が遅れていく可能性を指摘しています。
年金を「65歳から必ず支給される安心の保険」だとイメージする人は多いと思います。
ですが、実態は世代によって状況が大きく変わってきています。
ここで、世代別に当てはめて考えてみましょう。
40代(1977年〜1986年生まれ)の場合、年金が満額で受け取れるのは75歳前後と予想されています。最近の会社では65歳で定年を迎えるケースも増えており、定年から年金開始までの5〜10年の「収入の谷」を、自力で渡る必要が出てきます。
50代の方も同じ立場です。
副業をやっているかいないかで、この難易度が大きく変わるわけです。
著者は「40代で副業を始め、50代で独立し、元気な間は働き続ける」というロードマップを推奨しています。年金だけに頼らず、自分の稼ぐ力を二本立てにしておこう、というシンプルで現実的なメッセージです。
選ぶべき副業3選 ―「物販」「賃貸」「情報」
では、何を始めればよいのか。著者はビジネスを大きく3つに分類しています。
物販ビジネス ― フリマアプリから始める「商売の基本」
物を仕入れて売る、商売の最も古典的な形です。安く仕入れて高く売るというシンプルな構造で、お金の流れがイメージしやすいのが魅力。
入門編は、ご家庭にある不用品の販売です。クローゼットの奥のブランドバッグ、本棚の専門書、押し入れのレトロゲーム。フリマアプリに出すと、「ガラクタかな」と思っていた物が意外な値段で売れることがあります。
まずは「自分の家の在庫」を商品にしてみる。これだけで、仕入れ・出品・発送・顧客対応という商売の一連の流れを体験できます。
賃貸ビジネス ― 「持っているもの」を貸して稼ぐ
物を貸して、利用料をいただくビジネスです。代表格は不動産ですが、最近はシェアリングエコノミーの広がりで個人でも参入しやすくなりました。
入門編は、家にあるものを貸し出してみること。年に数回しか使わないキャンプ道具、休日しか乗らない車、もしものときのバイク。シェアリングサービスに登録すれば、眠っている資産が小さな収入源に変わります。
**「使っていない時間=利益のチャンス」**と考えると、家の中の景色が少し変わって見えるかもしれません。
情報ビジネス ― あなたの経験は、誰かの「答え」になる
自分の知識や経験を売るビジネスです。物販と賃貸の延長線上にあり、デジタル時代に最も伸びている領域でもあります。
入門編はコンサルティング、ビジネス代行、ガイドの仕事など。そして著者が並行して勧めるのが、ブログを「名刺がわり」に育てることです。
ブログは、24時間あなたの代わりに自己紹介をしてくれる存在。実績ゼロの状態から信用を積み上げる、地味だけれど強力な装置です。
やってはいけない副業3選 ―「超高難度」「ハイリスク」「労働集約型」
選ぶべき副業の裏返しに、避けるべき副業もあります。
超高難度ビジネス ― 40代から目指すビジネスではない
医師や弁護士などの専門職、ベンチャーやスタートアップの創業など。これらは資格取得や事業立ち上げに長い時間と体力が必要で、20代ならともかく、40代から本業の傍らで挑むのは現実的ではありません。
例えるなら、装備を持たずに高山へ挑むようなもの。本気でやるなら本業として腰を据える必要があります。
ハイリスクビジネス ― 勝てない・儲からない世界
株のデイトレード、FX、仮想通貨、ネットワークビジネスなど。著者は、株やFXは90%以上の人が損をすると指摘します。
特にネットワークビジネスは、ポンジスキームの温床になりがちです。 ポンジスキームとは、新しく集めた出資金を「配当」として古い出資者に回し、利益が出ているように見せかける詐欺の手口で、最後は破綻して資金が消えます。「絶対儲かる」という言葉が出てきたら、まずこれを疑ってください。
労働集約型ビジネス ― 指示待ちというやらされ仕事
コンビニのバイトや清掃のパートなど、雇われて時給で働く形態です。
すぐお金になるという即効性はありますが、**「指示を待つ仕事」**になりがちで、自分の資産(スキル・顧客・コンテンツ)が積み上がりにくい。本書が目指す「副業をライフワークに育てる」という方針とは噛み合いません。
好きなこと・やりたいことを副業にする ― ライフワークとして育てる
ここが本書の一番の見どころだと感じました。
著者は、副業を単なる副収入源ではなく、ライフワークにすることを強く勧めています。
ライフワーク=収入が第一の目的ではなく、やりがいや使命感を第一の目的として取り組む仕事
なぜここまでライフワークにこだわるのか。理由は2つあります。
理由1: 長く続ける必要があるから
年金支給が後ろ倒しになる中、私たちは想定よりも長く働き続けることになります。お金だけが原動力だとモチベーションを保ちにくいです。
車に例えるなら、給与は燃料、やりがいはエンジンです。エンジンがガタついていると、いくら燃料を入れても前に進めません。
理由2: お金と幸福度の関係
ノーベル経済学賞受賞者ダニエル・カーネマンの有名な研究では、年収7万5千ドル(約800万円)を超えると幸福度の伸びが鈍る、とされてきました。 なお最近の研究(2023年)では「収入が増えれば幸福度も伸び続ける」と結論が更新されている部分もあるので、絶対視はできませんが、**「お金だけでは満たされない領域がある」**という大筋は今も有力な見方です。
つまり、**「自分がやりたいからやる。結果としてお金もついてくる」**という状態が、長距離走としての副業には一番合っている。これは多くの人がうすうす気づいていることを、データと経験で言語化してくれる章だと感じました。
副業がバレたくない人へ ― 3つの注意点
「副業に興味はあるけど、会社にバレたら困る…」
そう思う方に向けて、著者は3つのポイントを挙げています。
1. 失言しないこと
最大のリスクは、実は自分の口です。「最近、副業で月5万円くらい稼げてて」と、つい誰かに話したくなる。承認欲求がうずく瞬間ですね。
でも、その一言が回り回って人事に届くことは珍しくありません。「言わない」が最強の防御です。
2. 住民税の納付方法を「自分で納付」にする
副業で増えた住民税は、何もしなければ会社の給料から天引きされる仕組みになっています。すると、「あれ?この人だけ住民税が多い」と経理に気づかれてしまう。
確定申告の際に、住民税の徴収方法を 「自分で納付(普通徴収)」 にチェックを入れることで、副業分の住民税は自宅に納付書が届く形になります。これは大事なテクニックです。
3. ビジネスネームを使う
本名で活動するとSNSや検索で簡単に紐づいてしまいます。
作家のペンネームのように、副業用の「もう一つの名前」を持つ。デジタル時代の防御策として、シンプルですが効果的です。
なお、副業の所得が雑所得扱いになると、税務上は「事業」とみなされず、会社の副業規定上もグレーになるケースがあります。この扱いはご自身の状況で変わるので、詳細は本書や税理士さんに確認するのが安心です。
おわりに ― 稼ぎ口を二つに、人生を一つに
本書を読んで、私自身の副業観が少しだけ変わりました。
副業は「老後資金を作るための作業」ではなく、老後を含めた人生全体を、自分の手で設計し直す手段なのだと感じます。
今の40代は、年金支給が実質的に75歳前後にまでズレ込む可能性があります。会社員人生の延長線だけでは、その「谷」を渡るのが難しい時代です。
だからこそ、
- 稼ぎ口を二つにして、収入の柱を増やす
- そのうちの一つを、好きなこと・やりたかったことにつなげてライフワーク化する
- 長く、無理なく、自分のペースで育てていく
このバランスを意識して動くことで、老後の不安と人生のやりがいを同時に手当てできるのだと思います。
副業を始めようか迷っているけれど、何から手をつけていいか分からない。そんな方には、地図として本当に役立つ一冊です。気になった方はぜひ手に取ってみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。 また次の記事でお会いしましょう。
